空想スゴロク

現在の状況は、まるで液状化した大地の上でスゴロクをしているかの如く

ロボットと話せますか?

キミはSiriを使っているか

StatCounterの統計によると、日本のスマートフォンでのiPhone使用率は2017年10月時点で67.1%。世界で見ると約20%、本国アメリカでも55%であることを考えると際だって高いことがわかる。筆者も日本でiPhoneが発売されてすぐに、携帯会社をソフトバンクに乗り換えて使っている。今使っているのはiPhone7で確か5台目だと思う。妻と中学生の息子は6Sで、小学生の娘は僕のおさがりのiPhone5CをSIMフリー(SIMなし)で使っている。妻はこの他インドやバングラデシュで購入した格安スマホを何台かもっているが、これを無視すれば我が家のiPhone占有率は100%となる。

因みに筆者は日本の多くのiPhoneユーザーと同じく決してアップル信者ではない。職場と自宅のPCはWindowsだ。他に家にはiPadがあるが、これは息子のもの。

しかし、スマートフォンタブレットがアップル製品なのには理由がある。簡単に言えばセキュリティ面でAndroidを信用していないからだし、それはアメリカの国策企業とも言えるGoogleをあまり信用していないという事情も含まれる。

一般的にiPhoneを使う理由にならないが、個人的には(今では誰も言わないけれど)初代iPhoneが実はソニーのアイデアのほぼ丸写しのようだったことが関係している。記憶の奥を探ると、白い紙にデザインされた未来の情報端末。どこかにSONYの文字が入っていたはずだ。その画像を見たとき、そのアイデアは日本のSF漫画の延長線上で示された未来に違いないと、僕は納得したものだった。

 

さて、iPhoneの機能そのものについて昔と今の違いを比較して一番の違いは何かと言えば僕はSiriだと思う。通信速度やカメラ、画面の高速化、高性能化は本質的な違いとは言えない。しかし、これまで指で行っていた操作が、音声でも行えるようになったということは決定的な違いと言える。

しかし、Siriに続いてOK google なんかも含めて音声アシスタンス機能は登場以来殆ど人気が無い。Siriなどを使っているか、との質問に対して2012年と2017年の回答でその差は殆ど無い。外出先で使っている、との回答はアメリカでも僅か2,3%に過ぎない。

こうした統計の中でiPheneとAndoroidで若干の差異が見られるが、おそらくGoogle検索での音声入力と対話型の音声アシスタンスを混同しているためだろうと思われる。検索ワードの音声入力と、人工知能を使って返事を返してくる音声アシスタンスでは雲泥の差がある。前者はたとえ人前でも案外恥ずかしくないが、Siriとの会話は人前では決してしたくない。殆どの人はそう思うはずだ。

ところが、ここに来て、様々なメーカーからAIスピーカーが発売されてきた。

 

技術者はなぜ対話型音声アシスタンスに未来を夢見るのか

今のところ、究極のAIスピーカーとも言える製品は、ソニーのコミュニケーションロボット「Xperia Hello!」だ。もちろん、単なるスピーカーではなく、少ししか動かないロボットだが、ちょっと驚く。

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ロボットがどんなに優れたコミュニケーション能力を備えているにせよ、このビデオのような使い方は想像できるだろうか? このロボットは目が光ったり、体の一部が動いたりと、親しみが持てるよう作られているが、ロボットと言うよりは音声コミュニケーションを主としたAIスピーカーだ。従って、家の中とは言え、家族がいる前で積極的に話しかけるというシーンは今のところ想像しづらい。先にほんの少し触れたが、機械との会話は日本人に限らず、欧米人を含めて「気恥ずかしい」と感じる人が多数だ。

 

このような状況の中でソニーはじめ家電メーカーやアップルやGoogleのような企業がAIスピーカーに力を入れているのには必ず理由がある。
例えば、外出先であろうが家の中であろうが、家族の前で機械に向かって単なる命令以上のコミュニケーションは苦手にしても、暮らしの家の中で機械に向かって話しかけることはそれほど苦痛ではない。何かを調べるならば、いちいちスマホの画面に指を立てて打ち込むよりは、マイクボタンをタップして口でキーワードを打ち込んだ方が楽だ。従って、このソニーのビデオの本当のターゲットは家族ではなくて、少し経済的に余裕のある単身者に違いないはずだ。
例えばあなたが現在60才以上であれば、犬や猫や鳥などペットを飼うことをためらうはずだ。今では犬も猫も屋内飼育であれば20年近く生きるし、オウムだってそうだ。自分は80才まで健康に生きられる、と仮に信じていたとしても、高齢になってのペットの介護はきつい。そうした人向けに優れたコミュニケーション能力と学習能力があり、かつ愛らしい小型のロボットは売れるはずだ、と考えて不思議はないだろう。また、特に子供の学習向けのツールとしても単なるモニターよりは、音声と映像で勉強相手になってくれるロボットのほうが望ましい。
しかし、そのためには様々なデータを収集する必要がある。サンプルは多ければ多いほどいい。
 
こうした製品の開発者に限らず、多くの人々はSiriをあまり使わないのとは裏腹に、まるでアニメのアトムと話すように、自分の意思をロボットに言葉で伝えたり、発した言葉を文章化してくれるロボットがあればいいと夢想していなかっただろうか?
従ってまだ満足できないにせよ、その夢の実現の一歩手前まで今人類は来ているのだ。